新作 作品解説

「Abstract Hours」 

「Abstract Hours」Ed.7

Ena Ishii

UVプリント / 2025年 (W278xH420)

Photograph (UV print on acrylic)

優しい光に満たされた世界🌏

美しいピンク色の夕暮れをみた時、まるで時間が止まったような静謐さの中に、「はじまり」と「終わり」が重なって存在しているように感じました。

夕暮れは一日の終わりと新たな始まりの境界。

光がやわらかく空気に溶けすべての輪郭が曖昧になっていく時間帯。

永遠を象徴するピンクの中にほんのりオレンジやラベンダーのグラデーションが滲む色は「時間の終わりでもあり、再生の瞬間」でもあるような、そんな気すらしました。

手と雲が交差する瞬間には、「出会い」「別れ」「つながり」「記憶」など、あらゆる関係性の象徴を込めています。

それはきっと

「時間を越えて結ばれるもの」

重なり合う手と雲は“自己と他者” でもあり、“過去と現在” でもあり、“存在と記憶” そんな関係性であるのかなぁと思うのです。

手のモチーフは私のこれまでのシリーズに幾度も出てきますが、下に向けた手のひらに、みなさまはどんな印象を受けるでしょうか?

「Not a Mirror」

「Not a Mirror」Ed.7

Ena Ishii

UVプリント / 2025年 (W278xH420)

Photograph (UV print on mirror acrylic)

水面に映る光が波影に戯れ、まるでダンスするかのように瞬間ごとに形を変える姿をプールサイドでじっと眺めていた時、その揺らめきときらめきがあまりにも美しく、心がどうしようもなく動いて、何度も何度もシャッターを切ったことを思い出します。その数、ざっと3,000枚!

作品に昇華する上で、ガストン・バシュラールの『水と夢』という本からインスピレーションも多分に受けています。とにかく水に触れ、水と戯れ、水について考えました。

「水は人間の存在と本質を映し出す鏡🪞」

でありまた、「想像力の鏡🪞」でもあるのです✨

鏡=自己表現

窓=世界の観察

という相反する概念を統合して

『調和』として提示するために

「鏡は単なる反射ではなく一瞬と永遠の間に存在する窓」と仮定してみました✨

こうして感覚と思考の間を漂い泳ぎながら

内なる響きが外の世界と美しく重なり調和することを願って生み出した三部作の目玉作品としてセンターに配置しました。

見る角度によって、光によって、さまざまに色や形を変える・・

三作品に通じるモチーフである「水」を平面でいかに表現するか、様々に試して行き着いたのが、このミラーにプリントするという技法でした。

発光しているかのような不思議なパワーを色々な角度から眺めて感じて頂きたいです。

タイトルはあえて「Not a Mirror」

鏡はあなたの表面だけでなく心を映し出す

この作品は、作品を鏡に映し込み、ご自身と真っ直ぐに向き合うことで完成します。

「Ever-still, Ever-flowing」―変わらないまま変わってゆく

「Ever-still, Ever-flowing」ー変わらないまま変わってゆく Ed,1  

Ena Ishii

UVプリント・タイプCプリント/ 2025年(W278xH420)

Photograph 

(UV print on acrylic・Type C Print, hand-printed from color negative film)

奥にぼんやり見えるのは

11年前はじめて発表したシリーズのひとつ

「affectionate world」セルフポートレートです。

2019年展示「La Vie d’une femme」より

上に重ねた一枚は、水面を撮っているので絶妙に滲んでいます。

画面下部に鬱蒼と茂るのは、「平和🕊️」「繁栄」「長寿の木」とされるオリーブの木🌳

2枚を物理的にも重ね合わせることで見えてきたのは

過去も現在も未来も、

そして自然も人も、

全てが永遠に循環しているということ

永遠と刹那が交わるあわいに生きる私たちは、そのあわいの中を泳ぎ続けることできっと永遠になる・・そんなメッセージを込め、最新のプリントと、私の生まれたままの姿を写した手焼きプリントを重ねる形で額装しました。

私とプラチナプリント

私は、長きにわたってプラチナプリントで作品づくりをしてまいりました。

古典技法を習得し、先人の素晴らしさを知りながら、優美なグレーの作品を生み出す過程において、本当にたくさんの学びがありましたし、今までプラチナプリントで作ってきた作品は私自身の宝物であり代表作です。

プラチナを薬品として使うわけですから、コストもかかるし、一つ一つ手作業のため時間もかかる・・・けれど、そのような工程を経るからこそ、世界に一つしかないアートを生み出すことが出来ると思い制作してまいりました。

こちらは大判カメラ・ティアドルフで撮影
8×10サイズと、拡大した作品「Dialogue」制作秘話←クリックしてください
この度、なぜ新しい技法で挑戦したのか

今この時代に主流とされている技術、最新の技術を使ってしても、自分自身の表現したい唯一無二の世界を作ることができると思ったから。この数年間は、再び自分自身と徹底的に向き合いました。

そして、モノクロームのプラチナプリントでは表現しきれない、「今、私の目に映る色の世界」を視覚化したいと、痛切に思ったからです。

かのピカソも!創造と破壊を繰り返しつつ進化していったのです。

私もまた、挑戦しよう!!と思いました。

ちょうど2年ほど前から、新作の構想を練りはじめ、「重ねる」ことを念頭に膨大な数の過去作品から一枚をチョイスする作業に入ったのが去年の3月のことでした。

こちらは私の作家活動初期にローライで撮影した
手焼きのタイプCプリントです

「アートと暮らす」

お気に入りの作品を、大切に自分の一番身近なスペースに飾りながら、孫・ひ孫の代まで受け継いでもらいたい!

おばあちゃまが大好きだった作品を、そこに佇む想いと共に代々ご家族で語り継ぎ、家族を繋ぐ大切なものになってくれたら・・・私の作家としての願いは変わりません。

本当に大切なものは目に見えない。
数少なくとも上質なものに囲まれる中に幸せを、愛を見つける・・・今、そんな時代なのではないかと思います。

大切にしたい想いは変わらないまま、変わり続けてゆきたいです。

みなさんにたくさんの愛が届きますように。
May love fill the world!!

アンコール展示初日にご成約いただきました

現在、アンコール展示中です。

作品についてのお問合せなどは、展示期間中におきましてはギャラリーの方へお願いいたします。

Canvas Call 「Encore in Harmony」

○会期  12月2日(火)〜25日(木)(12時〜18時半)

     月曜日は休廊ですのでご注意ください

○会場  東京都渋谷区広尾5-19-9

     THE HARMONYST

     03-6277-4002